研究概要 |
昨年度試作した定格130Wの永久磁石式リラクタンスジェネレータ(PMRG)は、同一形状の3台のPMRGを固定子の位相をずらして積み重ねることで、トルクリプルの低減を実現していたが、軸長が長くなる問題があった。また、高効率化のためには、更なる多極化が必要であることが明らかになっていた。そこで平成20年度は、上述の多段積みPMRGの更なる小型・高効率・低コスト化について検討を行うとともに,定格400W以上(1000rpm)の改良機の試作を行い,実証試験を行った。まず、多極化については、従来のインナーロータ構造のままで、多極化を進めると、極やヨークを極数の比に応じて細くする必要があるため、磁石を配置するスペースを確保することが難しくなり、また中心軸付近に利用できない空間ができることから、アウターロータ構造を採用した。これにより、磁石を配置するスペースを大幅に確保できるようになったため、従来の高価なネオジム磁石では無く、安価なフェライト磁石を用いることが可能になった。次いで、トルクリプルの低減については、多段積みが有効であることは間違いないが、昨年度の3段積みでは軸長が長くなる問題があった。ここで、仮にPMRG1段のトルク波形の高調波成分が奇数次のみになれば、原理的に2段積みでもトルクリプルをゼロにできる。そこで、本年度は回転子極の一部を切り欠くことによって、トルク波形が奇数次成分のみで構成されるように調整した。これにより、2段積みでも十分なリプル低減効果が得られることを確認した。 上述の解析・設計に基づき、実際に発電機を試作し、実証試験を行ったところ、回転数1000rpmで最大出力約750W、効率約82%を達成した。
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