研究概要 |
リチウムイオン二次電池を使用したハイブリッド自動車や小型分散電源用の蓄電装置の制御系を設計・開発するためには,電池の過渡応答を考慮に入れた動作特性シミュレータが必要となる.このことを考慮して,本研究では,リチウムイオン二次電池の劣化を考慮した過渡動作特性シミュレータを構築することを最終目的としている.前年度までの研究により,劣化していないリチウムイオン二次電池の過渡動作特性をシミュレートするための等価回路およびシミュレーションコードはほぼ完成したが,電池の性能は劣化により大きく変化するため,開発を目指しているリチウムイオン二次電池の過渡動作特性シミュレータには,この劣化の影響も考慮する必要があるしそこで,本年度の研究では,高温状態で電池の充放電を繰り返すことにより,電池の加速劣化試験を行い,劣化にともなうリチウムイオン二次電池の交流インピーダンス特性の変化を詳細に測定し,その結果を総合的に判断してリチウムイオン二次電池の簡便な劣化度判定試験手法を確立することを目的とした.具体的には,まず,電池を50℃の高温環境下において定電流とパルス電流の2種類のモードで繰り返し充放電する加速劣化試験を行った.その際,劣化試験を途中で何度か中断し,その劣化状態での電池の容量と種々の温度と充電状態の場合における交流インピーダンス特性を測定した.この試験により,電池の劣化にともなう等価回路の変化は電池をどちらのモードで劣化させるのかに依存せずほぼ同じとなることを確認するとともに,温度と充電状態により決まる電池の状態ごとに,劣化にともなう電池の交流インピーダンス特性がどのように変化するのかを明らかにすることができた.さらに,得られた電池の交流インピーダンス特性の測定結果を精査することにより,リチウムイオン二次電池の簡便な劣化度判定試験手法を提案した.
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