ポラリトンレーザの実現は、新たな原理によるコヒーレント光の出現という学術的意義と、超低閾値化や未踏波長領域の光源実現という応用上の意義をあわせ持つ。 H20年度は、ヘリコン波励起プラズマススパッタエピタキシー(HWPSE)法成長酸化亜鉛(ZnO)エピタキシャル成長薄膜の高品質化を目的として、水熱合成ZnO基板上にZnOのホモエピタキシャル成長を行った。Zn極性基板を用いた場合、920℃以上の高温成長で成長条件を最適化することにより、分子線エピタキシー(MBE)法やレーザMBE法と遜色のない高品質な薄膜の成長に成功した。低温のフォトルミネッセンススペクトルには、A、B自由励起子の第一励起状態からの発光や、A、B励起子ポラリトンの発光が明瞭に観測された。まさにHWPSE法の長所を発揮させることに成功した。 これと平行し、SiO_2、ZrO_2誘電体酸化物薄膜を反応性HWPS法で堆積して分布ブラッグ反射鏡を形成し、計算値にほぼ一致する反射率スペクトルを得た。さらに、新たな透明導電性薄膜として注目されはじめたNb添加(n型)TiO_2薄膜のHWPS製膜を開始し、比較的比抵抗の低い薄膜体積に成功した。また、屈折率分散を測定してZnO : Alとのλ/4n厚積層構造の計算を行い、導電性非単結晶DBR形成への指針を構築した。 さらに、Ga添加ZnOやCu添加NiO等のn型、p型透明導電膜のHWPS薄膜堆積を行い、抵抗率制御の基礎データを取得した。
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