研究概要 |
熱アシスト型MRAMに利用でいるTbFeCo垂直磁化膜を用いたトンネル磁気抵抗素子を作成した.Ta (5nm)/TbFeCo (20nm)/CoFeB (1nm)/Al-O (1.6nm)/CoFeB (1nm)/[Co (0.4nm)/Pd (1.6nm)]_6/Ta (10nm)/熱酸化膜付Si基板という構成のトンネル膜を多元マグネトロンスパッタ装置により作成し,フォトリソグラフィー,電子サイクロトロン共鳴(ECR)プラズマより生成したArイオンエッチングにより20×20μm^2の接合を作成した.Al-O層の形成にはAl層成膜後酸素プラズマにより酸化するが,基板側の磁性層に酸化耐性のあるCo/Pd多層膜とすることで,20%の磁気抵抗(MR)変化をもつ磁気トンネル接合を作成することが出来た.CoFeB層の組成を変化させることで更なる高MR化が期待される. GdFeCo垂直磁化膜を用いたスピン注入素子を作成し,素子にパルス電流を印加し,スピン注入磁化反転を確認した.Ta (5nm)/Cu (5nm)/GdFeCo (5nm)/Cu (3nm)/CoFeB (1nm)/TbFeCo (20nm)/CuAl (150nm)/Ta (5nm)/熱酸化膜付Si基板という構成の垂直磁化の巨大磁気抵抗効果(GMR)膜を多元マグネトロンスパッタ装置により作成した.電子ビームリソグラフィー,Arイオンエッチングにより100nm×150nm程度の素子を作成し,他研究の面内GMR素子と同程度のMR比0.05%が得られることを確認した.この素子にパルス幅100msecの電流を加え,スピン注入反転を確認した.必要な臨界電流密度Jcは7×10^7A/cm^2程度と他の面内GMR素子と同程度となったが,今回の素子のGdFeCo層厚が5nmと他研究の3倍程度であることを考慮すると,比較的小さなJcが得られたと言える.
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