研究概要 |
本研究では,これまで本申講者らが開発してきたSAW素子用2次元たわみ振動計測装置を基に,GHz帯微小縦振動を超高速に2次元計測するシステムの実現を目指す。具体的には,光学的検出手法として,これまでのナイフエッジ法に代わりセニアック干渉計の適用を試み,GHz帯でも高感度に縦振動が観測可能なことを示すと共に,この干渉計が低周波振動に鈍感なために高速2次元走査が可能なことを実証する。 本年度は,まず,これまでSAW素子用2次元たわみ振動計測装置に対して開発してきた広帯域ヘテロダイン受信システムについて周波数特性や雑音の発生機構を詳細に検討して最適な回路構成を実現し,高感度で2.5GHz帯まで利用可能な高感度受信機を構築した。 次に,この受信機と2次元縦振動計測装置を利用してGHz帯SAW素子におけるSAW界分布を2次元計測する。これまでの2次元たわみ振動計測装置を利用して同一試料を測定し,両者の結果を比較・検討した。そして,セニアック干渉計が,これまでの計測装置と同程度以上の検出感度を有し,しかも縦振動が観測可能なことを実証した。なお,周波数特性や空間分解能等に関しても十分な性能を有している。ただし,2.GHz以上の周波数で2次元計測する場合,高倍率対物レンズを利用するため,僅かな測定対象の傾きで焦点ボケを発生する問題が明らかになった。 また,振動の絶対振幅計測の準備として,表面反射率の影響に関する補正を試みた。しかし,高速2時元走査の際には,表面反射率計測回路と高感度受信機の遅延時間に差があるため,両回路の出力を単純に除算するだけでは補正できないことが明らかとなった。
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