近年、システムLSIおよびNAND型Flashメモリに代表されるULSIは、その高集積化と高機能化が加速され、2012年には設計ルールが25nmである微細デバイスの実用化が期待されている。今後は、25nmサイズといった、高分子材料としては極限に近いサイズでのパターン形成が求められており、ナノスケールでの凝集構造の制御が重要視されている。このような背景に基づき、本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)等を用いて、これらのナノスケールの凝集構造の制御を実験的に試み、理想的な凝集構造を有する微細レジストパターンの構築を目的としている。 H20年度4〜9月にかけては、レジストパターン表面へTipを押込むことにより、表面硬化層の検出と膜内の凝集性の測定を実施した。また、レジストパターン表面に付着するナノバブルの基礎特性を解析した。特に、レジスト膜表面に付着したナノバブルは、比較的平坦な形状を有することを確認した。20年10月〜12月に実施したナノバブルの剥離試験においては、約3nNといった極めて小さい力で剥離できることを確認した。これらは、ナノバブル周辺の線張力から概算した付着力に相当する。H21年1〜3月には、細分化した高分子集合体のvacancy内へのナノバブルの付着について検討を実施した。これにより、成果として、原子間力顕微鏡(AFM)を用いて、レジストパターン上へのナノバブルの付着性を支配する要因を実験的に明確にした。これらにより、加工精度が高く付着性も良好なレジスト材料の設計モデルを構築し、25nmサイズの微小レジストパターンの最適化を実施してきた。
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