| 研究概要 |
本年度は,(1)MIMO-OFDMにおけるIDMAの構成法と通信性能,(2)MIMO-OFDMにおける最小BER規範プリコーディングのインパルス応答推定法,および,(3)ミリ波帯シングルキャリア伝送における位相雑音抑制のための信号処理,について研究を行った.具体的な内容は以下の通りである.
(1) 移動通信の周波数利用効率の向上が期待されるMIMO-OFDMインターリーブ分割多元接続(IDMA)上り回線において,従来のマルチユーザ検出器(MUD)に較べ演算量を大幅に削減できる簡略化MUD(S-MUD)を提案した.各アンテナの受信信号からビット対数尤度比を計算し,全アンテナのビット対数尤度比を加算して繰り返し(MAP)復調を行った.また,MUDと復号をパラレルに行う従来の繰り返し受信機に対し,受信信号電力の高いユーザからMUDと復号を順次行うシリアル繰り返し受信機も提案した.さらに,MIMO-OFDM IDMAにおける低符号化率の誤り訂正符号として超直交畳み込み符号(SOCC)を用いたMIMO-OFDM IDMAシリアル繰り返し受信機を提案した.
(2) MIMO-OFDM移動通信・下り回線において,基地局で最小BER規範プリコーディングを行い,移動局で干渉を抑圧する空間フィルタと最尤検出を用いる伝送方式を想定し,プリアンブルとして直交性が優れたZadoff-Chu系列を用いたチャネル推定法を提案した.また,干渉局のプリアンブルが未知であっても相関検出により干渉局のチャネルを推定する方法について提案した.
(3) ミリ波60GHz帯シングルキャリア(SC)伝送において,位相雑音による伝送特性の劣化を抑えるために判定指向形位相雑音補償(DD-PNC)を用いる繰り返し(MAP)受信機の有効性を実験により明らかにした.
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