本研究は代表者がこれまで行ってきた科研費若手A助成研究の発展研究で、局所領域の簡便な磁気特性計測装置として要望が強い、「磁化方向の検出が可能な縦カー効果顕微鏡」を実現することにある。数10μm〜サブμmにパターン化された磁性材料では試料内各場所での磁気特性がその性能を左右することから、パターン試料内部の磁区構造観察に対する需要が高まっている。そこで本課題ではこれまでに確立した白色光の高倍率磁区構造観察技術を発展・応用し、磁化方向の検出が可能な縦カー効果顕微鏡を実現することにある。1年目に当たる平成19年度は白色光(超高圧水銀灯)を光源として用いることにより、磁化ベクトル方向の検出が可能な磁区観察顕微鏡を作製することを目標として研究を行った。 磁化方向の特定のためには、対物レンズ入射瞳の直交方向の辺縁部に微小スポットの入射光を落斜させて、各軸方向の磁化ベクトル成分に比例したコントラストを付すことが有効である。各落斜光軸からのプローブ光の入射タイミングをズラしながら試料を照明し、照明のタイミングと同期をとってCCDカメラのシャッタを切ることにより(時分割法)、磁界掃引時の磁化ベクトル履歴動画像の撮影を行った。PCからの制御信号で光路を微動させる落斜位置制御機構を確立し、超高圧水銀灯1つで2光軸を実現した。さらに得られたベクトル履歴動画像に対して、色合いの割付、局所領域の輝度ヒステリシスループの抽出も可能であることを確認した。
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