研究概要 |
水蒸気の鉛直・水平分布は,気象予測や気候予測に不可欠な値であり,豪雪をもたらす水蒸気の起源を探るとともに,雲内の降雪粒子の成長機構と輸送過程の解明を行うために,レーザー式水蒸気同位体分析装置によるフィールド観測,既設装置による地上の連続降雪観測,レーダによる地上から降雪雲までの連続降雪観測を行った. (1)レーザー式水蒸気同位体分析装置によるフィールド観測 水蒸気の起源の違いによる水の同位体変化を明らかにするために、小樽から若狭までのフェリーを使った日本海上の観測(緯度効果)、札幌から苫小牧までの移動観測および金沢での定点観測(内陸効果)を実施した。これらの観測の際に,降雪粒子における水の同位体を測定するために,地上で降雪を採取した。 (2)地上の連続降雪観測 小型ドップラーレーダ,降雪強度計(電子天秤),画像処理システムを近接して設置し,降雪を連続同期観測し,リアルタイムで解析・記録するシステムを構築した.これにより降雪の反射強度Zと降雪強度Rを同一観測空間かつ高時間分解能で連続的に測定した.さらに降雪粒子映像から個々の粒子の形状特徴量を解析し,雪片とあられを自動分類し降雪タイプ毎にZ-R関係を求めることが可能になった。 (3)地上から降雪雲までの連続降雪観測 2台のシーロメータを用いて地上から雲底までの水蒸気の時空間濃度分布を連続観測するシステムを構築し,観測データの解析により時空間変動を明らかにした.
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