本年度はミリ秒時間分解非接触温度測定技術を駆使し、熱プラズマジェット照射時のSiウエハ表面温度を精密制御しつつ不純物を高効率に活性化することを目的として研究を推進した。従来の熱プラズマジェットのパワー密度はガラス等の加熱には十分であるものの、熱伝導率が2桁も大きいSiウエハ表面を十分に加熱するには更なる高パワー化が不可欠であることが明らかになった。以下に研究成果を列記する。 ・DCアーク放電をおこなう陽極-陰極間ギャップ(ES)を従来の1mmから3mmへと拡大すると、ジュール加熱により熱プラズマの温度が15000Kから23000Kへと上昇し、これによって熱処理時のパワー密度を3倍の33kW/cm^2へと格段に増加できることが明らかになった。 ・この結果、従来200K程度しか加熱できなかったSiウエハ表面を600K以上昇温可能となり、熱プラズマジェットをSiウエハの不純物活性化に適用可能となった。 この高パワー密度熱プラズマジェットを用いて極浅接合形成実験を実施した結果、 ・Asをイオン注入したSiウエハをミリ秒熱処理したところ、到達温度1000K以上で低シート抵抗を達成する高効率不純物活性化に成功した。 ・Asクラスターイオン注入した試料を熱処理し、接合深さ11.9nm、シート抵抗1095Ωの極浅接合形成に成功した。 ・Bクラスターイオン注入した試料でも、接合深さ21.8nm、シート抵抗392Ωを達成した
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