研究課題/領域番号 |
19360188
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石丸 伊知郎 香川大学, 工学部, 教授 (70325322)
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研究分担者 |
正木 勉 香川大学, 医学部, 教授 (30335848)
田中 直孝 香川大学, 農学部, 准教授 (60324109)
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キーワード | 計測システム / 光圧力 / 細胞 / 投薬 / 多自由度制御 / 粘性力 / 弾性力 / 触診 |
研究概要 |
近年のポストゲノム時代では、生体分子と薬剤の相互作用を生きたままの細胞を用いて解析できるナノツールの開発が望まれている。薬剤を生細胞に対して投薬試験する際には、細胞懸濁液に直接薬剤を混入して反応を観察する。しかしながらこの投薬方法では、薬剤が細胞全体に作用するため、細胞内に局在する特定の生体分子との相互作用のみを解析することは困難であった。そこで我々は、生体細胞内部の微小器官、及び細胞膜表層における薬剤の機能解明を目的として、特定の微小器官に選択的に薬剤投与し、それによる変化を無標識で観察する光学技術を確立する。 本申請においては、生きたままの細胞を用いた薬剤の特定小器官への効果を検証する技術を確立する。しかしながら、細胞に対して多方向から任意の局所的な微小領域へ投薬を行うことは困難である。そこで我々は、細胞小器官へ直接投薬するプローブ操作技術を提案する。本手法は、培養液中に浮遊させたマイクロプローブを光圧力で捕捉する。そして、新たに別の光束で集光照明して2光束間の集光位置や強度を操作することで、プローブの位置や姿勢を多自由度で制御する(以降、ジャグリングプローブと呼ぶ)。バネ質量ダッシュポット系の機械的なモデルにより、細胞の粘弾性分離計測モデルを構築し、実験評価を行った。光圧力の求心力をバネ力として用いていることから、従来の原子間力顕微鏡のカンチレバーによる触診と比べて、弾性力計測に関して1万倍程度の高感度化が可能となっている。そのため、微弱な粘性力が顕在化され、弾性力との分離計測が可能となっている。これにより、薬剤の細胞骨格の弾性力への影響と、細胞粘液の粘性変化とを分離して効果を検証することが可能となった。
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