研究課題/領域番号 |
19360189
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
松川 真美 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60288602)
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研究分担者 |
細川 篤 明石工業高等專門学校, 電気情報工学科, 准教授 (00321456)
山崎 薫 浜松医科大学, 医学部付属病院, 准教授 (00200650)
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キーワード | パルス超音波法 / ブリユアン散乱 / FDTD / 海綿骨 / 皮質骨 / ハイドロキシアパタイト |
研究概要 |
1)X線回折法による骨ミネラル微結晶の配向測定 20年度に引き続き、X線回折法(XRD)の極点図法をもちいて、ハイドロキシアパタイト(HAp)微結晶の配向と音速の異方性を検討した。ウシ・ヒトの密な構造の骨では、HAp微結晶配向と音速値にはR値で0.8の高い相関があるだけでなく、これらの値の最大方向が骨軸(体荷重の方向)からわずかにずれていることを見出した。このわずかなずれは部位により異なり、体荷重を支える力学的構造が複雑であることを指摘した。 2)ブリユアン光散乱法による海綿骨骨梁の測定 ブリユアン光散乱法をもちいてウシやヒトの海綿骨骨梁中の音速測定を行った。各骨梁中の音速の分布を測定し平均値を求めたところ、音速平均値は骨梁形状に依存せず、どの骨梁も同程度の値であった。骨梁の弾性はこれまでナノインデンテーションが報告されているが、本手法では骨梁の長手方向に伝搬する音速(弾性)を測定している。どの骨梁の長手方向の弾性も同じであることは従来から知られていない新しい成果である。 3)海綿骨中の縦波超音波伝搬特性の検討 ウシ大腿骨の海綿骨を球状加工し、さまざまな方向から伝搬する超音波の音速測定を可能とした。X線CTにより3次元骨梁構造も解析し、各音波伝搬方向の平均骨梁長さやMILパラメータを算出した。その結果従来の指摘と異なり、高速波・低速波の分離伝搬は、骨軸方向以外にも生じることを見出した。この結果は、骨軸に垂直な方向に超音波を伝搬させて高速波・低速波を利用した海綿骨評価ができることを立証している。つまり海綿骨の骨梁構造に鋭敏な高速波を利用した高精度評価の可能性を示している。
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