研究概要 |
本研究の目的は実用的な飛行船の自動航行制御システムを開発し,無人飛行船を用いた飛行実験により有効性を実証することである.平成20年度の具体的な研究成果は以下のとおりである. 1. テザー式小型飛行船による風の時系列データの取得と蓄積:外乱適応型自動制御システムの設計やシミュレーションなどに行う際,実際の風の時系列データと飛行船の動きのデータが必要である.そこで,平成19年度に製作したテザー式小型飛行船システムを改良し,風速・風向計や3軸ジャイロにGPSも加えたセンサーを搭載し,無線LANによりデータを地上に無線送信できるシステムを製作し,高度70m程度で屋外飛行実験を7回実施し,合計1060分間以上のデータの蓄積を行った. 2. 外乱適応型自動制御システムの設計と屋内飛行実験:平成19年度の成果を,風向が一定かつ未知の場合に拡張した.そして,未知の風速・風速をオンラインで推定し,風外乱を受けても任意の希望の地点にすばやくかつスムーズに移動し静止できるコントローラの設計法を導出した.本研究のアイデアは,モデルベース適応制御法を応用して風速・風向をオンライン推定し,さらに研究代表者提案している座標変換法を応用することである.その結果,提案するコントローラは,風速・風向推定器も含めたシステム全体の大域的安定性を保証し,かつ風外乱の中で船首をすばやく風に向ける自然なアプローチ操船と定点保持を達成できるという,これまでにない優れた利点を有する.数値シミュレーションと自律飛行制御実験装置を用いた屋内飛行実験により有効性を検証した. 3. 屋外用実験機の設計検討:まず高運動性能をもつ屋外用実験機の開発のため,昨年度取得した空力係数などの風洞実験データに基づき,主翼と補助翼・推進器をつけた新しい飛行船システムを提案し数値シミュレーションにより翼の取り付け位置や配置,補助翼の角度などの最適設計を行った.
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