研究課題
寒冷地沿岸コンクリート構造物に特有な劣化現象に関して、環境負荷低減の方策も踏まえて、耐久性を評価することを目的とした。ライフサイクルを通じた環境負荷においては、材料製造段階が比較的大きいことから、普通ポルトランドセメントの代替として、フライアッシュを用いることで環境影響を考慮した。フライアッシュ(石炭灰)は、火力発電所の稼動により排出される産業廃棄物であり、処分場の逼迫など環境側面から有効利用が要請されている。本研究では、一般的な寒冷地沿岸コンクリートの要求性能の一つである塩害と凍害の抵抗性を耐久性評価指標とした。耐久性評価では、コンクリートの微細構造が大きな支配要因であることから、X線CT法を用いた微細構造評価も合わせて研究した。フライアッシュコンクリート中への塩化物イオン浸透性をEPMA(電子線マイクロアナライザー)を用いて定量評価した。特性X線強度と全塩化物イオン濃度との関係について、検量線による定量換算が可能な一次関数を提案した。この際、粗骨材やボイドを特性X線強度の平均化処理では排除することの有効性を示した。このようにEPMAから求めた塩化物イオン濃度分布と実測値との整合性を示した。さらに、自然電位のモニタリングシステムを構築した。フライアッシュコンクリートについては、現在も継続してデータを取得しているが、普通コンクリートはすでに鉄筋腐食が発生しておりシステムの有効性を明らかにした。凍害環境下での凍結融解抵抗性を調べるために、X線CT法による空気泡分布、ひび割れ状況を観察することで、凍害との関係を明らかにした。
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