社会インフラが整備された今日、都市などの重要な社会基盤である地下トンネル構造物をより長期間使用するためには、これらの構造物を適切に維持管理しなければならない。しかし、都市開発などが構造物近傍で順次実施されているため、特に軟弱地盤においては知らずして既存の地下トンネルを損傷させている場合が多い。これらの構造物が大きな損傷がいつどこで発生し、今後どうなるかを予測した上で適切な維持管理を行うこと、さらには新たに建設される地下トンネル構造物の場合にどのような方法で対処すべきかを明らかにすることが求められている。 以上のことを考慮して、本研究では現状の地下トシネル構造物の損傷・劣化の程度を評価するために実験、解析.実地調査を行うことにより、新たな検査システムを開発し、この手法が実際にどの程度有用であるかを検証することを目的としている。平成19年度においては(1)土槽に埋設した模擬トンネルを作成し、地上から地盤に対して載荷することにより、どのような応力および変形がトンネルに発生しかを種々ケースで寒験した。(2)実験結果に基づき3次元有限要素法で解析を行いどのような応力および変形となるかを算出し、実験値との差を用いて逆解析によりどのような地磐条件としたら良いかを算出した。(3)東京都内にある7道の調査を行い、ひび割れ発生箇所ならびにその方向を求めた(4)トンネノヒの経年による沈下測定結果と地上の盛土との間に相関性が認められることから、笑構造物の解耕を行った。以上の結果から地上に設けられた盛土により埋設トンネルに変形とひひ割れを発生させた可能性が高いことが明らかになった。これらの結果は平成20年3月に行われた土木学会関東支部大会において発表した。次年度はトンネルの劣化・変形に関ずる詳細を明らかにする予定である。
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