研究課題/領域番号 |
19360196
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松下 博通 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10038036)
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研究分担者 |
園田 佳巨 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40304737)
浜田 秀則 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70344314)
貝沼 重信 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00262874)
佐川 康貴 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10325508)
尾上 幸造 宮崎大学, 工学部, 助教 (50435111)
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キーワード | 静的圧縮強度 / 乾湿状態 / 微細ひび割れ / ひび割れ進展エネルギー / 表面エネルギー / 表面張力 |
研究概要 |
表面張力の高い海水中における海洋コンクリート構造物の疲労耐力の低下機構を明らかとするにあたり、平成19年度は静的圧縮過程におけるコンクリート内部微細ひび割れの発生伝搬状況について検討した。具体的には、繰返し載荷除荷を受けるコンクリートの応カ-ひずみ曲線のヒステリシスの面積より算定される「ひび割れ進展エネルギー」に着目し、静的圧縮応力下におけるコンクリート内部微細ひび割れの発生伝播状況についてエネルギー的に考察した。その結果、(1)ひび割れ進展エネルギーはひずみの増大にともなって累乗的に増加すること、(2)損失エネルギーに占めるひび割れ進展エネルギーの割合は浸漬液体の表面張力が同一であればひずみ比が異なっても一定値をとること、(3)浸漬液体の表面張力が大きいほど最大応力時のひび割れ進展エネルギーは減少すること等の知見が得られた.ここで、ひび割れ進展エネルギー(N・m)は,微細ひび割れを形成するための表面エネルギー(N/m)と微細ひび割れ面積(m^2)の積で表わされると考えられる。そこで、載荷試験後の供試体を用いて超音波伝播速度の測定を行ったところ、載荷の上限応力が大きいほど超音波伝播速度は低下するが、浸漬液体の表面張力の違いによる影響は見られず、ほぼ一本の近似曲線で近似できることが分かった。したがって、圧縮強度に達した供試体内部の微細ひび割れ量は、配合が同一であれば内部空隙中における液体の有無や表面張力によらずほぼ同程度であると推察され、ひび割れ進展エネルギーの低下は微細ひび割れ形成のための表面エネルギーの低下を表すと言える。以上のことより、乾湿状態の違い、あるいは浸漬液体の表面張力が増大することによるコンクリートの静的圧縮強度低下メカニズムとして、「表面エネルギー低下説」の妥当性を示した。
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