研究分担者 |
園田 佳巨 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (40304737)
濱田 秀則 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (70344314)
貝沼 重信 九州大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (00262874)
佐川 康貴 九州大学, 大学院・工学研究院, 助教 (10325508)
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研究概要 |
平成20年度は,表面張力の異なる液体中にて疲労荷重を受けるコンクリートの微細ひび割れ発生伝播過程について,縦ひずみ値,および応力-ひずみ曲線のヒステリシス面積より算定される損失エネルギー量の変化に着目し検討を行った。コンクリートの水セメントは55%とし,供試体にはφ75×150mmの円柱を用いた。表面張力の異なる浸漬液体として,界面活性剤水溶液(表面張力:63.0dyn/cm),水(同72.8dyn/cm)および高濃度塩水(同90.1dyn/cm)を使用した。疲労試験には電気油圧式サーボパルサを用い,下限応力を静的強度に対し10%で固定し,上限応力を55,60,65%の3種類に設定した。供試体側面にひずみゲージを貼付し,防水処理を施した上で,供試体を液体に浸漬させた状態で疲労試験を行い,規定回数ごとに応力とひずみの関係を測定した。本実験で得られた主要な結果は以下の通りである。(1)定常領域におけるひずみ速度が一定であれば,浸漬液体の表面張力の大きさによらず疲労寿命はほぼ一定である。(2)同一の最大応力比で比較した場合,浸漬液体の表面張力の増大にともない,ひずみ速度の対数は直線的に増加する。このことは,液体の表面張力の影響によって微細ひび割れを形成するための表面エネルギーが低下し,微細ひび割れの進展が促進されることを示している。(3)疲労寿命Nに対する繰返し回数nの比n/Nが大きくなるほど,ヒステリシス面積より算定される損失エネルギーは比例的に増加するが,その増加割合は浸漬液体の表面張力の大きさに依存する。(4)同一の最大応力比で比較した場合,浸漬液体の表面張力が増大するにともなって,疲労破壊時の損失エネルギーの累計は直線的に低下する。このことは,液体の表面張力の影響により微細ひび割れを形成するための表面エネルギーが低下し,微細ひび割れの進展が促進されることを示している。
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