研究概要 |
近年,貴重な社会資本を構成するコンクリート構造物の劣化が顕在化しており,これらの構造物の適切かつ経済的な維持管理が極めて重要になってきている。コンクリート構造物の耐久性に影響を及ぼす外来因子として,CO2と塩化物イオンが挙げられる。これらは,鉄筋コンクリート構造物中の鉄筋腐食に密接に関連しており,最終的には構造物の性能低下を招く因子となる.構造物に対して,より高い安全性を確保しかつ経済的な維持管理を施すためには,構造物の管理手法を『事後保全』から『予防保全』へと改良していくことが重要と思われる。 このような観点に立った場合、コンクリート構造物において、鋼材の腐食状況の把握や腐食因子の侵入速度の把握は、合理的な維持管理を行うためには極めて重要である。現在,コンクリート構造物の主な点検手法は「目視」である.しかし,「目視」点検は『事後保全』の考え方に立脚しているものである。 本研究においては、鉄筋コンクリート構造物中の鋼材腐食を対象とし、腐食センサの開発を行うとともに,腐食モニタリング結果のLCC評価システムへの融合を目的として実施している。具体的には以下の項目について検討を進めている。 1)腐食環境への試験体の暴露試験による劣化状況の把握 2)腐食センサの性能把握および適用性の確認 3)LCCによる将来予測に基づいた構造物の維持管理方法の確立 平成19年度においては、以下の研究を実施した。 鉄筋コンクリート中の鋼材の腐食センサの開発に関する研究として、1)接触センサ部の改良ならびに接触方法の改良、2)計測電流の分布状況と得られる計測値の関係の定量的把握、3)鉄筋の腐食減量と分極抵抗の関係の構築ならびに腐食速度推定精度の向上、を実施した。 腐食環境下への供試体の暴露試験として、1)標準試験体の作製および暴露の開始、を行った。
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