研究概要 |
本研究は,鉄筋コンクリートにプレストレスを導入した(PRC)はり部材を13体作製して載荷実験を行い,曲げおよびせん断ひび割れについて明らかにしたものである。実験要因として,コンクリート強度(f'c=40,100,160N/mm^2),プレストレス量等である。ひび割れ幅の測定には,コンタクトゲージ(曲げひび割れ),デジタルマイクロスコープ(曲げおよびせん断ひび割れ)を用いた。本研究から以下のことが明らかとなった。(1)超高強度コンクリート(f'c=160N/mm^2)ではひび割れが骨材を貫通して進展する場合があり,骨材のコンクリート内での分布状態や骨材径によってひび割れ幅が大きくばらつく傾向がある。(2)超高強度コンクリートではひび割れの発生も脆性的であり,大きな初期ひび割れが発生する。(3)初期ひび割れが大きいことから,普通強度コンクリートに比べて,超高強度コンクリートの曲げひび割れ幅は大きくなる。(4)土木学会示方書による曲げひび割れ幅算定式は,超高強度コンクリートに対してもある程度の精度で推定可能である。(5)超高強度コンクリートのせん断破壊状況は非常に脆性的であり,本実験において,せん断補強筋の破断が観測された。(6)せん断ひび割れ幅は,RCにおいてはコンクリートの圧縮強度の影響は見られないが,PRCにおいては小さくなる。(7)いずれの供試体においてもせん断ひび割れ幅はばらついているが,せん断ひび割れ幅は,せん断補強筋補強筋ひずみと強い相関を示すことが明らかとなった。
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