研究概要 |
土粒子に対する付着性の高い機械油などによる土壌汚染の原位置浄化手法を開発すべく、リサイクル植物性油を用いた実験を行った。機械油としてエンジンオイルで汚染した豊浦砂を充填したカラムに使用済みのてんぷら油を投与して観察し分析を行ったところ,てんぷら油が行渡った部分の残留機械油に土との質量比で1%を下回り,予想以上の浄化性能が確認できた. 土槽実験ではウェルポイントによる回収法を想定して取り組んだ.小型の土槽ではエンジンオイルの回収がすこぶる順調に進んだが,土槽のサイズが大きくなり,特に横方向にサイズアップすると,ウェルポイント近傍の地表からの空気の流れと地下水の汲みあがりの鉛直流が形成されることによって肝心のエンジンオイルの水平移動の阻害が起きてしまうことがわかった.これを改善するために,回収ポイントでの真空圧の負荷をやめ,代替法としてオーバーフローによる浄化実験、動水勾配を利用した浄化実験をおこなったところ,効率よくほとんどのエンジンオイルを回収することができた。しかし、両実験とも浄化完了するまでにかなりの時間を要してしまったことから浸透性の向上を次の課題とした。改善策として,粘性の低い植物油であるオレンジの皮に含まれる成分リモネンをてんぷら油に混合した液体を作成した.これを用いて行ったカラム実験で,てんぷら油の倍以上の浸透速度の向上に加え,浄化性能が低下しないことも確認できた。また卓上小型2次元土槽実験でも、水平方向への浸透性を向上することができた。ただし、このリモネンは実際の現場で使用するには高価であるため、今後はさらなる代替法を検討してゆきたいと考えている。
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