平成20年度の研究では、これまでに明らかになった問題点を解決すべく、リサイクル食用油と界面活性剤の併用法による浄化実験、油汚染の周囲を固化した卓上土槽浄化実験、止水壁・ウェルポイント吸引による浄化実験、の3つの方法について実験を行った。 併用法実験では界面活性剤で乳化された機械油の毛管上昇を、リサイクル食用油を上方から投与する事で抑制すれば、効率的な浄化が行えるのではないかと考え実験を行った。浄化は成功であったが、天ぷら油の重力浸透に想定外の時間がかかった。ガラス固化による地中壁の作成をともなう卓上土槽浄化実験を行ったところ、油汚染ゾーンの上下を固めることが可能であれば、真空吸引回収によってリサイクル食用油の流動性が高められ浄化効率の改善につながる可能性がわかった。しかし、この方法はガラス固化剤を汚染ゾーン付近までかなり接近して注入しなければ効果がなく、実地盤では施工が難しいことがわかった。非掘削浄化現場を視野にいれ、建物がない場所に止水壁を作り、その回収部の設計に着眼点をおく実験を行った。乳化した汚染油の毛管上昇帯八の吸い上がりを改善するために、地下水面付近に形成されると想定される乳化油の膜を回収するための井戸を作り、その左側に止水壁を作り砕石をいれた。この部分にはウェルポイントが設置されており、地下水面がこの位置になるようにした。実験の結果、乳化した機械油が地下水面付近まで浸透してきたところを吸引回収することで取り除くことができた。しかし、これまでに行った実験から、土槽のスケールが大きくなると、リサイクル食用油を浸透させる際、先に浸透した油分が抵抗となり継続的な浸透流が形成されにくいという避けがたい問題が常に観測され、現時点で実地盤に応用するには課題が多いことが確認された。
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