1)サステイナビリティの実現という観点からのフロントコントロール戦略の検討 本年度では環境負荷の発生と吸収というバランス、および地域の社会経済面での持続性という観点から、都市的活動に特化する空間(選択・集中空間)と、環境負荷吸収に特化する空間の境界がどのように設定され、マネジメントされてべきか(本研究でキーとなるこの概念をフロントコントロールと呼んでいる)ということについて、様々な実例を中心にその制御方策に関する整理を行った。具体的には、ブラウンフィールドを含む土地資源の空間リサイクルの促進、環境容量を効率的に拡大できるような用途規制変更、土地利用・交通一体化方策による選択・集中空間の明確化、グリーンベルトの設定、エコロジカル・フットプリント値を効果的に改善するための土地利用規制の実施、ガソリン価格の上昇、態度・行動変容などを通じての生活行動変化に伴う空間利用変化などである。 2)フロントコントロール戦略に対応する数値データの整理、評価システムヘの適用 あわせて、各検討ケースに対応する数値的統計情報の收集を引き続き実施し、昨年度作成した評価システムに改良を加えながら、いくつかの具体的なシナリオ評価を実際に実施した。特に身の丈国土利用の概念をエコロジカル・フットプリントの概念を導入することによって提唱し、岡山県津山市を対象に評価システムの構築を行った。また、環境負荷の中でも特に低炭素化という観点から着目されているCO2を取り上げ、都市構造との数値的関連性についてもあわせて経年的な整理を行い、その影響要因モデルを構築した。 3)エクメーネ・マネジメントのための支援システム・制度の開発準備 上記の検討に加え、地域特性に応じた新たなエクメーネ・マネジメントのための社会的な支援システム・制度を来年度最終提案するための準備を開始した。本研究の実施を通じ、実際に支援システムや制度の運用に直接関わる地方行政担当者の知識や意識に多くを負うことが明らかとなったため、これら行政担当者に対するワンショット型レクチャーを実施し、態度変容政策が及ぼす効果について実際に検討を行った。
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