研究概要 |
市販の粉末活性炭より遥かに粒径の小さい微粉炭をセラミック膜ろ過の前処理として用いた処理システムにおける臭気物質ジェオスミンや2-MIB, 自然由来有機物質(NOM)の除去性, および微粉炭添加が膜ろ過のろ過性に及ぼす影響について検討した. 活性炭の微粒度化によりNOMの吸着容量は増加した. この原因として, NOM, その中でも特にSUVA値が高く分子量が大きいフミン質的なNOMは, カルシウムなどの陽イオン影響を受けて, 活性炭の外表面のみに吸着するため, 微粒化することにより活性炭粒子全体がより吸着に有効に使用されることが示唆された. ジェオスミン・2-MIBの吸着容量は粒径により変化しないが, 活性炭の粒径が小さい程吸着速度が増加することが示された。Branched-pore kinetics modelシミュレーションによるジェオスミン・2-MIBの吸着速度の解析を行い, 吸着速度に関連した活性炭の代表粒径としてD30を提案した. さらにジェオスミン・2-MI8を効果的に除去するにはD30を1μm以下することを提案した. また, 微粉炭添加は膜ろ過時のろ過差圧上昇を抑制することが明らかとなった. この理由は微粉炭添加により粒子間の衝突頻度が高まりさらに凝集剤消費物質であるNOMが予め吸着除去されるためにより大きな透水性の高いフロック粒子が形成されるためである.
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