研究概要 |
前年度の成果を基に、バイオ燃料の総合的な環境、社会、経済への影響を評価する枠組みについて検討した。森林系バイオマスについては前年度構築したフレームを用いて、2050年までの将来における木質資源利用に関わる政策を森林への炭素蓄積量も考慮した評価を実施した。農業系バイオマスについても関東圏を対象として食品廃棄物に対してその物質フローを解析しながら有効利用する戦略について検討を行った。 バイオ燃料の評価については世界で先行する各取り組みについて調査を行った。既存の各基準及び基準作成に係る報告書を収集し検証した結果、バイオ燃料持続可能性基準策定の意義、各国における基準策定の背景、それぞれの課題を明らかにした。 木質資源利用施策の評価では、エネルギー利用についての施策を中心に評価した。森林や住宅における炭素ストック変化を考慮した実質のCO2削減効果を2050年まで推計した結果,エネルギー用木材の植林と伐採によって炭素ストック量は長期に渡って大幅に減少することが分かり,それら炭素ストック量の変化がCO2削減効果へ与える影響を考慮することの重要性が示された. 関東圏の食品廃棄物の解析では、再生技術として飼料化、堆肥化、メタン発酵を検討し、需要と供給のバランスから、いくつかの再生利用のシナリオを設定し、それを温室効果ガス排出量により評価を行った。その結果、廃棄物の削減という観点でリサイクルを進めることにより温室効果ガスの排出量が増加する場合があること、需給バランスをきちんと評価しておくことの重要性が指摘された。
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