研究概要 |
合流式下水道の雨天時越流水に含まれる汚濁物質が,受水域においてどのような挙動を示すのかを評価するため,本年度は東京湾における実態調査,雨水ポンプ場における自動採水器によるモニタリングを行った。 東京湾の調査は,降雨直後の2007年11月11日にサンプリングを開始し,その後,12日,14日,21日,28日にもサンプリングを行い,雨天後の汚濁物質の動態を評価した。サンプリング地点としては,隅田川河口部から東京湾に至る10地点を選択し,干潮,満潮時のサンプリングに加え,深さ方向(表層,中層,低層)の分布についても評価した。また,お台場海浜公園においても調査を行い,親水リスクに越流水がどの程度寄与するのかを調査した。分析対象としては,有機物,栄養塩,SSなどの一般的な水質指標に加え,重金属,病原性微生物(大腸菌,大腸菌群,アデノウイルス,ノロウイルス),医薬品,微生物群集とした。調査の結果,一般水質指標からは雨天時越流水の影響を伺うことは難しかったが,病原微生物指標からは雨天時越流が発生していることを強く示唆する結果が得られた。病原微生物は表層水に多く含まれ,中層,低層水の濃度は低かった。 越流水中の汚濁物質の流出パターンを評価するために,東京湾に越流水を排出する雨水ポンプ場に自動採水器を設置し,ポンプの稼動と共に,5分間隔で越流水を採水する体制を整えた。2007年度では,計3回の試料を採取できたが,経時的な動態を評価できるだけの十分なデータは得られなかった。来年度にかけて調査を続行する予定である。
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