世界各地内及び地域間の物質フロー勘定表、物質ストック勘定表を作成するための、勘定体系の構築、その勘定表の推計手法の開発および手法の適用を行った。まず、炭素、窒素、リン、鉄の物質フローについて、全世界24地域を対象とし、1971年から2000年まで期間で推計した。その結果、対象期間において、いずれの物質の投入量増加し、1.5-2.0倍になった。先進国では物質フローの増加割合は低かったのに対して、新興国、途上国では増加割合が高かった。また、一人当たりGDPとGDPあたりの物質の投入量に着目すると、炭素、窒素、リンは経済水準の増加とともにGDPあたりの物質投入量は減少する傾向であるのに対して、鉄は経済発展の初期段階で投入量が増加し、それ以降は減少するという傾向が見られた。 また、IEAのEnergy Balanceはエネルギー統計の中では最も有用なエネルギー統計の一つであるが、いくつかの問題を有し、産業部門のエネルギー消費量のデータに限っても、少なくとも3つの問題があることから、それらの問題を解決できる調整手法を提案、適用し、全世界106地域の1971年-2003年における産業13部門のエネルギー消費量を推計した。推計の結果、IEAのEnergy Balanceが抱えている問題は改善されたことが示された。IEA報告値から推計値への修正を地域別、部門別、年別の要因に分解したところ、地域別の要因の寄与が大きかった。OECD諸国は全般に修正の割合が小さかったが、中には大きな修正が行われた国も見られた。年別要因について見ると、1970年代で大きくなり、古い年のデータほど大きな修正がなされた。
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