研究課題/領域番号 |
19360242
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
島岡 隆行 九州大学, 大学院・工学研究院, 教授 (80202109)
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研究分担者 |
大谷 順 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30203821)
崎田 省吾 県立広島大学, 生命環境学部, 准教授 (80398099)
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キーワード | 廃棄物埋立地 / 都市ごみ焼却残渣 / 風化現象 / 孔隙構造 / X線CT法 / 重金属 / 溶出特性 / 化合形態 |
研究概要 |
本研究は、埋立処分された都市ごみ焼却残渣の長期的な性状の変化、すなわち焼却残渣の風化現象を解明することを目的としたものである。埋立地における長期的な風化現象を予測する上で、風化現象を決定する水分・ガスの移動経路である焼却残渣層の孔隙構造およびその変化を明らかにする必要があるため、焼却残渣充填カラムを用いて通水試験を行い、X線CT法により焼却残渣層の内部構造を可視化し、孔隙構造およびその変化を定量的に把握した。焼却残漬層には大小の孔隙が偏在していること、通水に伴い焼却残渣層の孔隙率が増加すること、可溶成分の溶解により見かけ密度が低下する箇所がある一方で粒子の移動によって見かけ密度が大きく増減する箇所があること等が定量的に明らかになった。また、孔隙の空間分布を考慮した水分移動モデルを構築し、焼却残渣層における水分移動の偏りを定量的に示すことを可能にした。 次に、焼却残渣中の重金属の長期的な形態変化および溶出挙動を明らかにすることを目的に、重金属の溶出挙動を決定づける重金属の化合形態とpHの影響に着目し、pH依存性試験を行うとともに、地球化学的平衡計第(Leach XS)および逐次抽出法によって固相中に存在する重金属の化合形態を明らかにした。原試料とpH依存性試験における濾過残渣の間での化合形態の違いについて、形態変化および溶解に伴うGibbsエネルギー変化の視点から考察を行った結果、(1)重金属の溶解反応と同時に化合形態間での形態変化が生じていること、(2)pHによって溶解しやすい化合形態が異なること、(3)溶解しやすい化合形態が他の化合形態に変化し、系全体がエネルギー的に有利になるならば、溶解が生じにくいと考えられていた酸化物態や有機物態などの化合形態からも溶出が生じることが明らかになった。埋立焼却残渣の安定化および重金属の挙動の長期的な予測に関する重要かつ貴重な知見が得られた。
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