研究概要 |
本研究は,転倒モーメント制御による鉄骨造制振構造システムを対象とし,本システムに用いる浮き上がり降伏ベースプレートの終局限界変形の評価と具体的な設計法,本システムを多スパン骨組・筋違付骨組に適用する場合の地震応答特性の解明,柱脚部浮き上がり時の立体挙動の把握,骨組のエネルギー応答の評価などを行い,本システムの耐震設計法を構築するととを目的とする。 1.柱脚部浮き上がり時の立体挙動の把握 前年度までに行った多スパンラーメン立体骨組に続いて,多スパン連層筋違付立体骨組の柱脚部浮き上がり時の立体挙動を検討した。特に,上下動の影響の程度,捩れ応答特性を把握した。 2.転倒モーメント制御による制振骨組の簡易応答予測 前年度までに得られた結果に基づいて,本システムの地震応答簡易予測法を検討した。また,エネルギーの釣り合いに基づく骨組の耐震設計法の基礎資料を得るための事例解析を行った。 3.転倒モーメント制御制振システムの縮小模型振動台実験 前年度に転倒モーメント制御による制振構造システム(縮尺1/3の3層鉄骨造立体架構)の振動台実験を実施した。この実験結果を詳細に分析し,これまでに得られた結果を検証した。 4.転倒モーメント制御による制振構造システムの耐震設計法の構築 本研究の総括として,エネルギーの釣り合いに基づく本構造システムの耐震設計法を構築した。 5.海外共同研究者との研究協力 本研究に関連して,海外共同研究者(米国Stanford大学Deierlein教授)との研究協力を行った。研究課題「NEES-SG : Controlled Rocking of Steel-Framed Buildings with Replaceable Energy Dissipating Fuses」(交換可能なエネルギー吸収ヒューズ付き鉄骨造建物のロッキング制御)(2006年~2009年)により,米国科学財団(U.S.NSF)から研究費を得て,2009年8月に防災科学技術研究所大型振動台(E-ディフェンス)を利用してロッキング機構を有する大型試験骨組による実験を行った。得られた実験結果を用いて簡易応答予測法の適用性を検討した。
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