研究概要 |
本年度は以下の項目についての研究を実施した。部材の最大せん断力分布に関しては,得られるユニバーサルな等価静的風荷重の分布が,不自然な分布となる場合がある。滑らかで自然な等価静的風荷重分布を得るためには,部材の最大せん断力の符号の組合せが重要であるため,我々のグループで開発した変動部材応力場のPOD解析結果に基づいて全部材のせん断力の正負の分布を決定する方法を用い,これに基づく等価静的風荷重分布の算出を行った。また、建築物表面で多点で同時に計測された変動風圧の時刻歴波形を建築物の構造体に関する有限要素モデルに作用させ,応答解析を行うことによって各部材の応力を求めた。電子的空力データベースを充実させるために、種々の建築物の変動風圧力を,東京工芸大学所有のエッフェル型境界層風洞により,多点同時風圧計測装置を用いて測定した。これまで実施されている開放型の片持ち屋根および屋根形状の異なる低層建物に加えて,ピロティを有する低層建物に作用する風圧特性や、折板屋根を有する低層建物の風圧実験を行った。なお,模型表面には,負担面積が均等になるように,300〜400点の風圧孔を配して風洞実験を行っており,その際,風圧チューブの影響は予め求めたゲインとフェイズを用いて補正した。また、次年度実施予定のシェル構造物の風圧実験模型を製作し、実験計画について検討を行った。さらには、既に公開している低層建物のデータベースに加えて,低層建物の屋根形状や屋根勾配が異なる場合の電子的空力データベースをウエブ上に公開した。
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