研究概要 |
従来の紙の媒体による基・規準に基づく設計手法から脱却し,電子的空力データベースに基づく耐風設計手法の確立を図ることと,各部材の最大荷重効果を同時に評価できるユニバーサルな等価静的風荷重分布に基づく,耐風設計体系を提案した。具体的にはすでに構築されている「電子的風圧風力データベース」に加え,FEMモデルより抽出される「影響関数データベース」および,FEMモデルへ荷重を作用させるために必要な「FEMモデル風力変換データベース」を新たに構築し,各種の構造形式に対応できるようにした。これらの3つのデータベースからすべての部材の最大荷重効果および,ユニバーサルな等価静的風荷重分布を自動的に算定するプログラムを整備した。全部材の最大荷重効果を同時に再現するユニバーサルな等価静的風荷重分布を,各種屋根形状,各種建物形状,各種構造形式に対して算定し,それらをデータベース化し,これを用いた合理的でかつ効率的な新耐風設計体系の雛形を構築した。 「電子的風圧風力データベース」,「影響関数データベース」,「FEMモデル風力変換データベース」の充実を図ることでユニバーサルな等価静的風荷重分布のデータベースは飛躍的に充実する。多くの設計者や研究者が風圧風力に関する生データを共有でき,これを用いた風応答解析などにより,強風時の各部材の詳細な挙動を把握して,より高度な耐風設計を一般の設計者が独自に行うことが可能となる。また基・規準類への反映も期待される。性能設計の観点から強く要求される各種限界状態に対応する精度の良い風荷重評価を可能とし,従来型の設計体系から脱却し,IT時代の現状に即応したより合理的な耐風設計体系が提案され,経済効果や省資源効果も甚大と考えられる。
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