研究概要 |
本年度は,(1)植栽減衰ブロックおよび高剛性減衰材の調配合と繰返し三軸試験,(2)複合基礎全体としての動的相互作用を勘案した動的挙動に関する解析的検討,および(3)軟弱地盤の常時微動測定および解析の3つのサブテーマについて研究した。なお,昨年度までの研究成果の論文発表の目的で,10月開催の第14回世界地震工学会議に参加し,同済大学蒋教授と環境振動に関する意見交換も行なった。 (1) 植栽減衰ブロックおよび高剛性減衰材の調配合と繰返し三軸圧縮試験 昨年度実施した植栽減衰ブロックの調配合結果に基づき,最適な調配合を探ると共に,基礎直下に打設予定の高剛性の減衰材の可能性を繰返し三軸圧縮試験により検討した。その結果,リサイクル率が極めて低い再生微粒分と高炉水砕スラグを組み合わせることで,高減衰性を有する地盤材料を得ることが出来た。また,高炉水砕スラグの量によってヤング係数をコントロールできる可能性を見出した。さらに,開発した地盤材料の拘束圧依存性も解明され,地盤深さを考慮した設計が必要となることが判明した。 (2) 複合基礎の動的挙動に関する解析 昨年度実施した予備解析結果を踏まえ,RC造5階建建物を想定した地震応答解析を実施し,提案する減衰材の有効性を確認した。 (3) 軟弱地盤の常時微動測定および解析 先ず,本年度購入した簡易的な微動測定装置T-seisの周波数特性を従前の微動計との比較により確認した。同簡易微動計を用いて,都内の4箇所のサイトにて微動測定を実施し,H/Vスペクトル等の測定データの解析結果と土質調査報告との相関性に関する検討を行った。その結果,軟弱地盤でのH/Vスペクトルと土質柱状図に基づいて推定した1次卓越周期との対応性が良好なことを確認できた。なお,上記4サイトは何れも耐震補修建物の敷地地盤であり,現在,耐震補修前後の微動変動に関して比較検討中である。
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