研究概要 |
研究期間の最終年度は当初,(1)植栽減衰ブロックおよび高剛性減衰材の調配合と繰返し三軸試験,(2)軟弱地盤の常時微動測定および解析,(3)最終的に提案しようとする複合基礎全体としての動的相互作用を勘案した動的挙動に関する解析的検討の3つのサブテーマに関する研究を計画した。 (1)植栽減衰ブロックおよび高剛性減衰材の調配合と繰返し三軸圧縮試験 植栽減衰ブロックおよび高剛性減衰材はつなぎ材にアスファルトを用いるため,拘束力が作用する地中での使用を考えて,施工時に重要な要因となる,圧密特性の検討を行った。その結果,混合材の種類によらず不飽和状態であれば24時間内でほぼ1次圧密は終了すると共に,繰り返し変形試験やせん断試験には,2時間程度の圧密を行えば試験結果に影響がないことが確認された。次いで,高剛性が得られる高炉水砕スラグと微粒分を混合材とする供試体を対象としたせん断試験実施し,三軸圧縮強度特性の確認を行った。その結果,15%という非常に大きな軸ひずみ領域まで,応力-ひずみ関係は線形に近い形状で明確な降伏点が現れず減衰ブロック材および高剛性減衰材に拘束圧を負荷すると強度が増大することが判明した。 (2)軟弱地盤の常時微動測定および解析 軟弱な2種地盤や3種地盤ではH/Vスペクトルのピーク振動数と土質柱状図に基づいて推定した1次振動数は良好な対応を示すことが確認できた。しかし合理的な複合基礎の設計には土質の把握も不可欠なため,戸建住宅で多用されるスウェーデン式サウンディング試験での土質判定法として,スクリュー部の摩擦音を利用した土質判定の可能性の確認実験を実施し,集音マイクを取り付ける筐体部の1次振動数域での音圧レベルにより土質の推定が可能なことが判明した。 なお,サブテーマ(3)については,高減衰材の最適な調配合および物性値確定後の課題とし,本研究期間終了後の継続テーマとする。
|