研究概要 |
これまでに,下記4建物の擬似地震時損傷前後の振動データ(起振機加振,常時微動測定)を得た。 (a)RC造4階,地下1階解体建物2階,3階の耐震壁(4枚)の3辺を切断 (b)RC造3階,地下無解体建物2階の耐震壁(1箇所)に長さ1m,2m,4m,8mの水平損傷 (c)S造9階,地下2階解体建物5階の鉄骨梁端部(1箇所)の下フランジを切断 (d)S造3階,地下1階既存建物の可変剛性(6箇所)のon/offによる剛性変化 これら4建物の擬似地震時損傷前後の振動データに基づき, (1)柔性マトリックスを用いた手法 (2)特異値分解を用いた手法 (3)共振曲線の比較法 などを適用し,損傷検知の可能性を検討した。得られた知見は以下の通りである。 ・鉄骨梁端部の損傷は,梁中央付近の振動特性の変化を利用して検知できる。この変化は3次元有限要素法による解析や,特異値分解を用いた解析からも確認された。 ・RC造耐震壁の小さな剛性低下の位置を共振曲線の比較だけから推定することは難しい。現状の解析手法では,解析的に求めることも難しい。 ・RC造耐震壁を切断した明らかな剛性低下は,共振曲線の比較だけからでも推定可能である。また,各種解析からも推定可能である。
|