研究概要 |
前年度までに作成した可視化教材をもとに,金沢工業大学で実施する授業のための,授業プログラムを開発した。特に,熱環境設計の規範となる,空間形態,構成材料,緑化の違いによる影響についての理解が深まるように,3D-CAD対応熱環境シミュレータを用いた演習授業を設計課題に間に加えた。そこで,植栽の影響を検討する際に必要となる樹種ごとの日射透過率について数値解析を用いて検討を行った。その結果,樹種により,枝葉密度や樹冠形状が異なるため,日射透過率が異なることが示された。その結果をもとに演習に用いる樹木モデルに樹種ごとの日射透過率を設定した。さらに,前年度問題となったモデル作成等にかかる時間を省くために,学生がシミュレータの使用の際に,操作に迷いが少なくなるようにインターフェイスを単純化し,演習のための計算モデルも,各テーマにあわせ,材料の選択,樹木の配置といったような操作のみで,演習が進められるようなもめを作成した。 授業プログラムとしては,学生に,授業が進むことで,熱環境へ関する自らの視点が変化し事がわかるように最初の授業において,熱環境緩和ためのキャンパス計画を出し,学生自らの知識で熱環境設計をさせた。その上で,シミュレータを用いたことによる,授業の理解度の違いがわかるように,シミュレータを用いた演習の授業を望む学生と講義形式の授業のみを望む学生に分け,熱環境設計の規範となる基礎知識の授業を行った。その際,第1回目の授業,さらに演習の授業において,アンケートと小テストを行い,理解度を把握するとともに,演習形式の授業と講義形式の授業の差を検討した、最後に,シミュレータ演習を行った学生を中心に,シミュレータを用いた設計の試行錯誤を行わせ,その中で熱環境に対する意識がどう変わって行ったかを,試行錯誤の過程をつぶさに記録するこによって,把握した。その結果,シミュレータを用いた設計を行うことで,樹木の配置や樹形に配慮するようなり,設計の中で動行った材料にするのが有効であるかを考えるようになっていることがわかり,本授業プログラムが,熱環境設計を行う際に有用であることが示唆された。
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