研究概要 |
本研究の目的は、雨水時の運転安全性と道路交通騒音の低騒音化に役立つ多孔質の排水性舗装路面についてその音響特性の変化に着目して舗装が健全か目詰まり状態かの判定を容易に計測診断可能とすることである。その計測技術として音圧マイクロフォンと粒子速度センサの併用で計測を安定容易にする方法を適用する。本年度もこの有効性と問題点の有無を確認するため、砂地や草地、芝生面などの地表面や実際の供用排水性舗装面を対象に吸音計測実験を行った。また、一般音場で音響共鳴現象やグラスウール等代表的な吸音材料の音響反射・吸音特性の基本観測実験を行った。さらに、実際の路面上での計測を想定したコンパクトな可搬型試験装置の構成について検討した。すなわち、音源の高さと非接触移動試験のために音響センサの路面からのクリアランスについて、昨年度に整備した密粒舗装や排水性舗装の試験体による音響計測試験で確認を行った。その結果、音源高さは50cmまで近づけられ、センサは路面から2cm程度離しても密粒舗装と排水性舗装の吸音率の差異を確認できることが判明した。この検討に基づいて移動音響試験装置を試作し、まず舗装路面試験体を対象に室内移動計測実験を実施して吸音特性の把握が可能なことを確認した。ついで屋外の試験舗装路面において400mに及ぶ移動計測試験も実施し、舗装ごとの吸音特性の差異を3次元連続可視化表現により明瞭に確認できた。これと並行して、舗装の仕様と目詰まり状態による吸音特性の差異について、舗装内空隙状態の異なる丸型切抜き試験体で吸音特性を観察した。その結果、排水性舗装は骨材のみと比較して低周波側に吸音ピークが移動することや骨材結合材の種類によって系統的に吸音特性が変わることなどのことが判明し、現場での計測結果による排水性舗装の健全度評価に役立つ資料の蓄積がはかられた。以上のことから,本研究の目的は概ね達成できたと判断する。
|