近年、オフィス環境の改善により執務者の生産性を向上させようとする試みが盛んに行われているが、その効果を評価するためには環境改善による執務者の生産性の向上を定量的に評価する必要がある。そこで、これまで研究代表者らはオフィス作業の生産性の定量的かつ客観的な評価手法の確立を目指し、オフィス作業を反映するパフォーマンステストとしてCPTOP(Cognitive Performance Test for Productivity)を開発してきたが、(1)タスクに習熟すること、(2)各問題の難易度に差があること、(3)テスト実施に時間がかかること、の3点が問題として挙げられた。平成19年度は、これまで開発してきたCPTOPを全面的に見直し、11種類あったタスクテストを(a)語句並び替え、(b)状態遷移記憶、(c)ブロック組み立て、(d)数列穴埋めの4種類に再構成したCPTOP2を開発した。さらに、開発したCPTOP2の知的生産性評価精度を評価するため、8人の被験者の協力を得て実験を行った。実験では、高照度照明の知的生産性向上効果も評価できるように照明環境を変化させて、その際のCPTOP2およびベンチマークテストである伝票分類作業のパフォーマンスを10日間に渡って計測した。その結果、高照度照明の知的生産性向上効果を確認するとともに、(a)語句並び替え、(b)状態遷移記憶、(c)ブロック組み立てについて、ベンチマークテストとほぼ同等のパフォーマンスの向上率が得られた。ただし、(d)数列穴埋めについては解答形式を4択式にしたためか、精度良く知的生産性を評価することができなかった。平成20年度には解答形式を改良して再度評価する予定である。
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