近年、オフィス環境の改善により執務者の知的生産性を向上させようとする試みが行われているが、改善の効果を評価するためには環境改善による知的生産性の向上を定量的に評価する手法の確立が必要である。研究代表者らは、これまでオフィス作業で主に使用する11種類の認知能力の発現度を計測するパフォーマンステストとしてCPTOP(Cognitive Performance Test for Office Productivity)を開発してきており、昨年度は本研究課題でこれを改良したCPTOP2を開発するとともに、被験者実験を実施してその評価性能を明らかにした。CPTOP2はWebベースのソフトウェアであり、11種類の認知能力の発現度を効率よく評価するため、(a)語句並び替え、(b)ブロック組立、(c)数列穴埋め、(d)状態遷移記憶の4つのタスクテストで構成される。平成20年度は、実際にオフィスにCPTOP2を導入して環境を評価することを目指し、35分かかるCPTOP2の評価時間を半分に短縮化するため、各タスクテストを改良した。しかし、単に評価時間を短縮化しただけでは、タスクの各問題に難易度のばらつきがあるとき各問題の回答時間もばらつき、精度良く各認知能力の発現度を評価することが難しくなる。そこで、結果のばらつきを抑えるため各問題の難易度を平準化するとともにインタフェースを改良した。さらに、改良の効果を評価するため、40名の被験者に改良前後のタスクテストを与えて、その結果のばらつきを調べた。その結果、改良後は評価時間が短縮化されているにもかかわらず、結果のばらつきが抑えられていることがわかった。今後は、改良したCPTOP2を実オフィスに導入して知的生産性を評価したい。
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