研究課題
本年度はまず昨年度行ったアンケート調査のデータを用いて、住宅供給の型と対象年齢層の同定及びその量的分布の分析を行った。その結果、日本と比べた場合の北京の持ち家取得は「若年・小世帯・大住宅」で発生しているという特徴を有することがわかった。これにより、住宅政策を検討する上で本との明確な相違点があることを考慮に入れる必要性が示された。次に、首都圏における住宅政策の変遷の分析に関する研究を、主に東京を対象として行った。とりわけ、UR公的賃貸住宅ストック再生の課題の考察を通して、住宅政策の構造転換について論じた。生活関連の近隣購買施設の配置利用実態に関する分析として、住宅団地居住者による購買行動と自動車依存に関する研究を行った。その結果、交通条件の良いところでは、遠方の施設利用も見られることなどがわかった。郊外化に伴う文教施設の立地分析を行うため、大学施設に注目して東京と北京の比較研究を行った。その結果、東京都市圏では郊外化することで高学歴化に伴う教育需要に応えてきたが、北京においては既存の大学が規模的に拡大することで、その需要を吸収してきていることがわかった。北京で見られたような、大学の規模的拡大に伴うキャンパス再開発は、都市計画的インパクトが極めて大きいと考えられた。その他、ゲーティッド・コミュニティと公共財の管理権限の帰属、近世都市の近代における拡大過程と都市縁辺部の変容、北京と東京における郊外化の比較、そして戦災復興計画の比較などの諸研究を行った。これらの成果をもとにして、首都圏の拡大を、より長期的視野から位置付けるための総論を構築することを目的として、2009年12月に北京・清華大学建築学院において国際シンポジウムを行い、香港、シンガポールにおいても都市圏の拡大から持続性の模索が始まっていることなどの報告を受け、巨大都市圏の今後のあり方について政策論的な議論を交わした。
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2009年度日本建築学会関東支部研究報告集 80号
ページ: 405-408
都市計画論文集 44-3号
ページ: 685~690