(1)財団法人家計経済研究所の「消費生活に関するパネル調査」のデータを用い、女性の諸属性と住宅所有の関係にっいての分析を行った。結婚、出産、就労・退職・再就労、そして持家取得のタイミングをパターン化し、パターンごとの持家取得における女性の役割を分析することによって、女性が正規就労を続けるのかどらか、子どもをもつのどうか、出産後の就労は非正規雇用によるのかどうらか、といった変数が取得持家の規模・価格、女性のローン返済分担、世帯全体のローン返済の負担程度なに影響していることが明らかになった。 (2)女性とその世帯の持家取得に関するインたビュー調査を行い、上記のパネルデータ分析によ知見を具体事例によって補強するとともに、親の育児支援の有無が就労と住宅所有形態に関係している点な明らかにした。 (3)住宅所有と社会変化の関係に関する既往理論を女性住宅所有の観点から見直し、それによって持家社会の理論の再構築を試みた。検討した主な理論な、政治経済学・社会階層論のアプローチ、福祉国家論・福祉レジーム論、都市計画・郊外形成論である。 (4)以上の研究成果は、「世帯」または「男性稼ぎ主」に注目してきた既往の住宅研究に対し、女性個人に着目した分析視点の導入の必要と有効性を示した点において住宅研究の新たな理論展開を促す意義をもち、また同時に、持家社会の変容を引起にし、その内容を左右する鍵としの女性の役割を示す、といら実態理解に関する意義をもつ。
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