研究対象地区(東京都・駒込地域、福島県・白河市中心市街地ほか)で実施した市街地空間・景観および居住環境とその建築タイプの詳細調査データを基に、既存市街地の3次元空間モニタリングデータベースを完成させた。次に市民・住民まちづくりワークショップで検討・立案された複数のまちづくりシナリオの内容を、高度なVRLM技術を駆使して仮想空間情報として視覚映像化し、これを用いて地区の将来像を事前評価しまちづくりの計画立案へフィードバックする戦略的計画アセスメントとして応用した。この中では将来像評価のための指標と基準(ガイドライン指標・基準)を抽出し、まちづくり計画へ応用する妥当性を検証した。研究では住民・市民、関係権利者、都市計画専門等の発意と創造力を地区単位のまちづくり計画へ反映し、複数のまちづくり計画を相互かつ有機的に協調化する地区マネジメント型の都計画支援システムとして統合化した。具体的には、白河市の研究事例では旧城下町中心市街地における駅前市街地景観、眺望景観、歩行景観およびそれらの連続景観の評価のため、概ね8m四方の1/100の大型都市模型を製作し、超小型CCDカメラを用いた簡易型デザインシミュレーション装置を用いて景観保全・再生の指標と基準を策定し、その有効性を市民参加のプロセスで検証した。また、同地区で進行中の中心市街地活性化まちづくりの計画と景観評価とを相互評価し、計画内容の戦略的アセスメントを行なった。他方、旧奥州街道沿道で進められる歴史まちづくりでは、明治・大正・昭和初期の建築の保全、再生のための計画指標と基準を立案し、それに基づくまち並み再生のVRLM映像を製作した。ワークショップ参加者が将来の沿道空間を仮想体験することが可能となるとともに、個々の建物ごとに進む漸進的なまちづくりの成果を逐次反映するオープンプラットフォーム型の計画支援技術としてシステム開発に成功した。
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