1. 建築考古学調査の実施:大学院生二名の研究補助者を伴って、フランス・ロワール県のサン=ジェルマン・ラヴァルの教会堂及びポミエ修道院教会堂、そしてブルゴーニュのドゥテとシャルボナの教会堂の計4件の遺構の実測調査を実施した。石材の使用様態、軸線のずれ、形態のバリエーション等の項目に渡っての詳細な観察を行い、部分的には写真測量も実施した。尺度論にも基づいて、計画意図や施行実態、プロセス、建設経緯と当時の建物の状態、意味に関わる重要な知見を得た。現在結果の講評の為の準備中である。またプロヴァンス、ル・トロネ修道院の建築調査も行った。ロワール県の二件は、県文化財担当局の依頼で実施したもので、県よりの多くの便宜供与があった。 3. 日本的建築考古学の方法論の発信:リヨン大学第二中世美術史・考古学のNicolas REVEYRON教授を二週間ほど招聘し、共同で日本各地の遺構見学を行い、教授には一回の学会での発表、一回の公開講演会を行ってもらった。招聘の効果は、REVEYRON教授が昨年度執筆しフランスで発表された論考に、日本の事例が紹介されていることに既に現れている。10月にブルゴーニュのパレ=ル=モニアルで開催されたロマネスク美術に関する学会に招待され意見交換を行い、2009年に国際会議として開催される同学会での西田の発表が決定した。また当該地方のロマネスク美術保存団体との協力関係も議論された。サン=テチャンヌ大学の文化財講座で日本建築に関する招待講演を行った。シャルトルで開催されたセミナーに出席し、主催者の研究者と意見交換を行い、別経費での渡航で、2009年2月に依頼によりリール大学第三の美術史講座のセミナーでの西田の招待講演を行った。同じく別経費で、その他3回のフランスでのセミナー発表・講演を行った。また京都工芸繊維大学で行われたJAPARCHI主催の日仏シンポジウムで発表を行い、フランス人専攻研究者と意見交換を行い、論文集の計画も立てた。
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