研究概要 |
本研究の目的は,アジアの歴史的都市の再生を総合的に明らかにする全体構想の第一歩として,東アジア・東南アジアにおける主要都市を対象とし,近年のその再生の展開過程を空間論及び社会論的に認識・把握しながら,都市史研究をべースにした都市再生のための方法論を一段と拡大・精緻化し,現代都市の創造に向けての歴史的な諸課題や論点を抽出することある。歴史都市の再生であるがための<歴史>そのものの位置づけをおこない,都市再生のための基盤を歴史的な視点に立って見出すことこそ,今後の都市のあり方を構想しうるのだという結論を見出そうとするものである。第一年度にあたる平成19年度は,年度テーマを共通テーマの「1.歴史的都市の形成過程とその諸類型」とし,各研究単位がこれまでの研究業績をさらに精緻かつ深化させることが重要な計画となる。研究組織の研究単位Aでは上海・北京・台北(高村雅彦担当),Bではルアンプラバン(大田省一担当)が現地調査や文献史料の考察を行って,類型化に結びつける作業を実施した。その研究の一環として,平成19年7月にはダサック・オウセンタパンヤ(ラオス国立大学建築学部教授),スーカン・チッタパンヤ(同主任),ソムチット・シッチバン(同副主任)を招聰し,国際シンポジウム「アジアの都市再生IV-ラオスビエンチャンとルアンプラバン-」を開催し,アジアに共通する都市再生のための視点を見出した。とくに,歴史的遺産を何を活かして都市再生に結びつけるかといった点では,台北・上海・北京が今後の主な対象都市となるであろう。
|