本研究の目的は、アジアの歴史的都市の再生を総合的に明らかにする全体構想の第一歩として、東アジア・東南アジアにおける主要都市を対象とし、近年の展開過程を空間論的及び社会論的に認識・把握しながら、都市史研究をベースにした都市再生のための方法論を一段と拡大・精緻化し、現代都市の創造に向けての歴史的な諸課題や論点を抽出することにある。 平成21年度の共通テーマ「都市再生の展開過程に見る空間論的及び社会論的特性」の成果を踏まえて、最終年度は総合的な調査および文献史料の考察・まとめを行い、報告書の作成を実施した。 その成果として、報告書「島原歴史都市の復権-まちと建築のフィールドワーク編」ならびに「江戸木挽町の芝居町と東京近代の大根河-水辺都市再生のための復元的考察」を刊行した。 そして、公刊物としては『タイの水辺都市天使の都を中心に』法政大学出版局、2011年3月を刊行することができた。 本研究の結論として、アジア都市の再生には、歴史的な都市の形成過程と建築の史的変容について、精緻な研究を進めることが必須条件であることを解明した。
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