研究概要 |
本研究の目的は,低速陽電子ビームや各種の表面・界面評価方法を用いて,従来から用いられてきたSi酸化膜および窒化膜の本来の性質を引き出すための物性研究を行うと共に,実際にその最適プロセスを提言することである. 本年度は,従来から使用してきた低速陽電子ビームラインを改造し,ビーム径を縮小するシステムを製作した.製作に先立ち,シミュレーションにより陽電子ビームを縮小できる磁気レンズ系を最適化した.シミュレーションで得られた結果を参考にして,実際に装置を製作し,低速陽電子ビームを直径10-15mm程度から2mm程度に縮小することができた.加えて,x-yステージを超高真空ビームラインに設置することにより,完全自動で点欠陥マッピングが測定できるシステムを構築した. 速陽電子ビームおよびXPSを用いて,TiN/SiO_2/Si構造の評価を行った.この結果,TiN膜の形成により,SiO_2及びSiO_2/HfSiON膜中へ電荷トラップが導入されることを見出した.欠陥はTiN/SiO_2及びSiO_2/Si界面に位置することがわかった.TiN/SiO_2界面にTiONが形成されるが,高温焼鈍によりその量は減少した.一方,TiN/SiO_2界面の電荷トラップは高温焼鈍により増大するが,その量はTiN形成のプロセス依存性に強く依存することが分かった.
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