平成13-15年度に科学研究費補助金を得て試作したスペクトロメターを原型として、棒状試料を強制振動法によりねじり振動させて動的(複素)弾性率を測定する装置を設計し、振動系、真空チェンバー、架台、計測・制御エレクトロニクスの中心部分とソフトウェアの製作を依頼した.試料の標準的な寸法は太さ約1mm長さ約20mm程度とし、振動のひずみ振幅は10^<-6>から10^<-4>の範囲、振動数は0.1mHzから100Hzの範囲で設定できるよう設計した.新材料においては小さな寸法の試料しか得られないことが少なくないので、上述の寸法の1/2あるいは1/3程度の小さな試料でも測定できること、またセラミックスなどのように脆い材料でも困難なく試料のセッティングができるよう試料周辺の構造と固定方法に工夫を凝らした.室温大気中での測定は一通り可能なところまで製作し、鉄-炭素固溶体合金におけるSnoek緩和、巨大磁歪Fe-Ga合金における磁気弾性効果、ペロブスカイト酸化物における点欠陥の移動による緩和現象などを試験的に測定している.測定結果は原型とした装置とほぼ同様である.しかし、真空排気系が未完である.最も重要な測定精度の検証のためには真空排気系の完成が急務である.そののち電気炉と温度制御系とを増設し、広い温度範囲で測定ができるよう進めてゆく予定である.
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