研究概要 |
本年度は強誘電体薄膜用電極材料の探索として既設のパルスレーザーデポジション装置を用いて、各種電極薄膜(Ir系(Sr-Ir-0, Ba-Ir-0, Ca-Ir-0)、Ru系(Sr-Ru-0, Ba-Ru-0, Ca-Ru-0))を作製した。基板温度、ガス圧力、ガス流量、基板種類、装置出力などのパラメータと得られた膜の構造、組成、組織、成膜速度などを明らかにするとともに、膜の導電特性を明らかにした。また、各種単結晶基板上にエピタキシャル成長膜を作製し、膜の結晶方位と導電特性との関係を明らかにした。 また、BaTi2_O_5強誘電体をCa、Zr置換したBa-Ca-Ti-Zr強誘電体をアーク溶解により作製し、キュリー温度、誘電率、および結晶構造に添加元素の影響を調べた。その結果、強くb軸配向したBaTi_2O_5膜が得られた。CaO添加量の増加にともないキュリー温度の上昇がみられた。 さちに、CoNb合金+Nbチップ複合ターゲットを用いたRFマグネトロンスパッタ法によりCo-Nb-O金属-セラミックス系ナノ複相構造薄膜を作製した。酸素を導入せずに成膜した膜は磁場を印加しても磁化されなかったが、酸素分圧の増加にともない磁化が増加し、超常磁性を示した。 (Co_<.65>Nb_<.35>)_<63>O_<37>のとき最大B=4.1kG(at 10kOe)まで磁化された。さらに酸素分圧を増加すると磁化特性は減少した。一方、Co濃度が少ないときは磁化されなかったが、18%以上で磁化された。Co濃度がCo_x(Nb_2O_5)_<100-x>において20<X<40の時、磁束密度B_<14kOe>=0.5-3.5(kG)、誘電率=13-28をあわせもつ磁性-誘電体となることを明らかにした。
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