研究課題
酸化物イオン導電性固体電解質の動作温度低下と内部抵抗低下を従来とは全く異なったアプローチで実現しようとするものである。具体的には、酸化物イオン導電体をSi基板等の熱膨張係数が異なる基板の上に製膜し、薄膜に応力を印加することで、結晶格子に歪みを与え、バルクセラミックスでは、得られないイオン導電性の実現を試みる。これにより、従来、バルクセラミックスで行われている、新材料探索とは全く異なった形で、イオン導電を制御することで、これまでより著しく低温で動作する酸化物イオン導電膜の実現を目的とする。Si基板上にエピタキシャル成長したY_2O_3安定化ZrO_2(YSZ)酸素濃淡電池セルを用いて、280-320℃という低温で、理論起電力を得ることに成功した。この原因について、従来の焼結体を薄くするアプローチでは、数十ミクロンが膜厚の限界であったものを、固体電解質を数百nmに薄膜化すること自体で酸化物イオン伝導の低抵抗化することと、基板による薄膜への応力印加の影響の両面が重要であることを明らかになった。薄膜化と応力印加により、イオン伝導の活性化エネルギーが低減するものと考察しており、YSZとGd_2O_3を添加したCeO_2とでは、応力印加のメカニズムが異なることを明らかにしている。低温動作可能な電極として酸化物電極の検討を行った。Si基板上に形成したYSZエピタキシャル薄膜の酸化物イオン拡散の活性化エネルギーの薄膜応力依存性の最適条件をまとめた。
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