研究課題/領域番号 |
19360307
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
岸 肇 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60347523)
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研究分担者 |
松田 聡 兵庫県立大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (40316047)
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キーワード | 植物バイオマス / エポキシ樹脂 / セルロース / ネットワークポリマー / ナノファイバー / オリゴエステル / コンポジット / 繊維強化 |
研究概要 |
本研究は、カーボンニュートラルな循環再生可能資源である植物バイオマスを有効利用し付加価値の高い材料を生み出すことを大目的とする。具体的には植物バイオマスを原料に合成したネットワーク(架橋)型ポリマーをマトリックス樹脂として合成し、高強度・高弾性率を有するバイオナノファイバー(セルロースナノファイバー)を強化材として用いて界面制御を行うことにより、既存の植物バイオマス樹脂(例えばポリ乳酸や澱粉系樹脂)系グリーンコンポジットより高性能な新規バイオマスナノコンポジットを創生することを目指している。 本年度は、研究実施計画に挙げた(1)植物バイオマス由来ネットワーク型ポリマーの高性能化、(2)強化材としてのセルロースの表面化学修飾、および(3)植物バイオマス由来ネットワーク型ポリマーの複合材マトリックスとしての成形性向上の3項目について、それぞれ次の研究成果を得た。(1):アルコール類との加溶媒分解反応により液化した木質バイオマス(アルコール液化木材)を原料とし、そのアルコール性水酸基を起点にグリシジルエーテル化反応を行う合成ルートにて液状エポキシ樹脂を合成した。その際、木質バイオマス中のリグニン等に由来して必然的に存在するフェノール性水酸基をあらかじめアルコール性水酸基に変換する予備反応により、従前法では副次的に生じていた不溶物が減少しエポキシ樹脂収率が著しく向上し、かつ樹脂の接着性能も改良されることを見出した。(2):セルロース粉末をモデル物質として用いてオリゴエステル化反応を施し、ポリ乳酸との複合界面接着性が改善されることを見出した。(3):合成したアルコール液化木材由来エポキシ樹脂がセルロース繊維との複合化可能な粘度レベルにあることを、真空含浸法により評価・確認した。
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