H19年度は、高速化を実現するために円筒座標系(R、θ、Z)の3方向において炭素繊維で強化された回転円盤の有限要素解析とそれを検証するための基材製作に重点をおいて下記の検討を行った。1.円盤の厚みを径方向に変化させた高周速化の検討2.最大周速を評価関数とし、実験計画法(曲面応答法)による最適設計3.金属回転軸を3D-CFRPに接合(ハブレス接合)するために許容な円盤の内外径比の検討4.上記3項目の結果から得られた最適解を実現するための3次元強化織物の試作検討5.上記4項に樹脂を欠陥なく含浸させ硬化させるための成形プロセスの検討1については、有孔円盤の外径に対する内径の比を0.1とし、内径側から外側に向けて、双曲線近似で厚みを薄くすることで、破壊周速1700m/sが得られた。これは目標とする1500m/sを超えるものである2項では、上記1項目の有効性を確認するために実験計画法を用いた最適性の確認を検討した。上記1項の1700m/sを検証することはできなかった。原因は、設計において多くの変数を取り込むと、より多くの計算回数が必要となるためであることがわかった。次年度は、本検討に適したアルゴリズムの選定を行う。3項において、1項で得られた1700m/sに耐えうる金属製回転軸の形状(寸法)と3D-CFRPとの圧入しろの検討を行い、回転軸が3D-CFRPとともに1700m/sまで破壊しないことを確認した。金属回転軸の素材は、汎用的なSNCM616を用いた。4項では、3次元織物の試作を行なった。試作品から得られた条件をもとに破壊周速を計算すると1500m/sであった。破壊周速の低下は、製織上の制約および繊維密度の精度から生じた。5項では、RTM(Rdsin Tranfer Molding)による樹脂含浸、および硬化を行った。事前に樹脂の流動性、含浸性の検討を行い、試作品の注型を行なった。成形後の試作品は未含浸部分があり、破壊周速は、1200m/s程度に低下すると予測している。
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