研究概要 |
作製時のチャンバー内の雰囲気圧力を変えることで過冷却液体の低温領域での核生成制御を行い、新しいZr_<65>Al_<7.5>Ni_<10>(Cu,Pd or Nb)_<17.5>バルク金属ガラスを作製した結果、これらが優れた塑性変形能を示すことがわかった。そのメカニズムとして、変形帯の移動にともなって動的な微細結晶析出が起きることを確認している。このような動的微細構造変化を示す金属ガラスを熱処理し、あらかじめナノスケールの準結晶相を分散させたコンポジット材料では、粒子分散による強度向上と動的ナノ結晶析出による変形能の向上という相乗効果が現れることを示し、その分散条件について考察した。その結果、あらかじめ熱処理によって析出させるナノ準結晶を10体積%以下とすることで、高強度、高変形能を実現できることを見出した。さらに、作製時のチャンバー内の雰囲気種および圧力を制御することで冷却速度を変えることができることから、緩和状態の異なるガラス構造を作製することに成功した。緩和状態を構造緩和量で評価し、機械的性質への影響を調査した結果、未緩和なガラス構造では(マクロ的には同じガラス構造であっても)、変形能が向上することを明らかにした。この結果は、金属ガラスの実用化において極めて重要な知見を与えるもので、"ガラス構造制御"の必要性を、示すものである。一方、貴金属元素添加によって安定化すると考えられる二十面体局所構造生成の起源を考察するため、Zr-Pt2元ガラス合金の局所構造とボロノイ多面体解析を行い、Zr、Pt周囲にともに二十面体局所原子配列が生成することを考察した。しかしながら完全二十面体局所構造はZrPd合金に比べて少なく、多くは歪んだ状態にあることを考察した。
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